
引用元:X
日本を代表する建築家であり、最近だと国立競技場のデザインでも注目を集めた隈研吾さん。
SNS上では、隈氏が設計した建築物が黒く変色していたり、老朽化が進んでいる様子が指摘されており、たびたび話題になっています。
彼が手がけるデザインは木材など自然素材を取り入れ周囲との環境に調和したものや、木材を格子状に組上げる「地獄組み」を取り入れたユニークな建築物もあります。

そんな彼ですが近年、隈研吾氏が設計したいくつかの建物で木材の劣化が問題視されています。
隈氏が手がけた有名な建物は国内だけでも50件以上ありますが、そのうち少なくとも9件の建物で劣化が指摘されています。
- 那珂川町馬頭広重美術館(栃木)😡
- 銀山温泉 藤屋(山形)😡
- ダイワユビキタス学術研究館(東京)😠
- 京王高尾山口駅(東京)😠
- 愛徳幼稚園(埼玉)😠
- 碧海信用金庫御園支店(愛知)😠
- 富岡市役所(群馬)😡
- 国立競技場(東京)🤔
- 田園調布せせらぎ館(東京)😠
隈研吾氏のこれらの建物は木を生かしたデザインが多く、木材を使っているがゆえに腐ってきたりカビのような見た目で黒ずんで汚れているものも多くありました。
これらの問題について専門家の意見なども交えて中立な立場でまとめてみたいと思います。
隈研吾氏の建築物一覧と劣化状況(50件のうち9件)

隈研吾氏の建築物を一覧にまとめてみました。隈研吾氏の手がけた作品は海外のものも含めると、かなりの数になるのですべてを網羅できていませんが、その中でも国内の有名どころを50件ほどピックアップしてみました。
国内の建築物を50件ほど調べてみたうちの9件ほどで建物の劣化(もしくは劣化の懸念)がある建物でした。
建物の一覧を見やすいように劣化の度合いをアイコン(ボロボロ度)で記載しURLなども載せてみました。参考にしてみてください。
上記に挙げた9件以外にも劣化した建物がありますが、
具体的に隈研吾氏の問題点などをさらに深堀して解説していきます。
隈研吾氏の建物のニュースやYouTubeの解説動画などをまとめてみました。
FNNの隈研吾氏の報道「那珂川町馬頭広重美術館」
FNNプライムオンラインにて、栃木県の那珂川町にある築24年(2000年完成)になる美術館「那珂川町馬頭広重美術館」が老朽化しており、屋根などが黒ずみ腐食していることを報道しています。
美術館を改修工事するには3億円にも及ぶ費用が必要なため、町はふるさと納税やクラウドファンディングなどあの手この手で資金集めを始めています。
美術館の設計を手がけた隈研吾氏は、老朽化の原因について、木を守るための保護塗料が今と比べて性能が低かったことを挙げています。
X(旧Twitter)でも有名な建築エコノミスト「森山高至」さんもインタビューに答えています。
森山高至氏によると老朽化が早まった原因について「屋根の上に棒のように並べてデザインとして取り付けている杉なので、どうしても屋根の下にあるわけではないので傷みやすい。そこまでの予算がかけられなかったのでは」と指摘しています。
FNNの隈研吾氏の報道「富岡市役所」
FNNプライムオンラインにて、2018年に完成した群馬・富岡市にある富岡市役所が6年で庇(ひさし)などにカビが発生したと報道しています。
富岡市役所の設計は建築家の隈研吾氏で総工費は40億円もかかっています。
X(旧Twitter)でも有名な建築エコノミスト「森山高至」さんもインタビューに答えています。
建築エコノミスト・森山高至氏:
(隈氏の建築は)常識的な木の使い方ではなく、“デザイン優先”なところがある。(木に)カビが生えない処理はあるが、その処理方法にはお金が掛かったり、色々な制約がある。予算がデザインとしての“スッキリさ”“シャープさ”と矛盾する。
隈研吾氏の設計事務所側は「イット!」の取材に対して、「富岡市と慎重に対応しておりますため、コメントは控えさせていただきます」としています。
黒く変色したのはカビではなく紫外線に当たって変色した可能性
FNNプライムオンラインの隈研吾氏の報道に関してYouTubeにて「幸せのデザイン宮崎建築事務所」さんが言及しています。
黒い変色はカビではなく、紫外線による変色
YouTube動画(幸せのデザイン宮崎建築事務所)によると、隈研吾氏の富岡市役所の建物が黒く変色しているのはカビではなく、紫外線による変色の可能性もあると指摘されています。 そもそも木材というのは乾燥していたら長持ちするのでそこまで心配する必要はなく、仮に濡れてしまっても乾燥するような環境であればそこまで大きな問題にはならないと説明しています。 (3:17〜)
ただし、木材が濡れる環境にずっとおかれるとシロアリが発生するおそれがあり、シロアリが発生して木材が腐食して中がスカスカに腐ってしまうこともあるようだ。 (3:40〜)
また、無垢材は比較的雨にさらされても大丈夫だが、接着剤で固めたエンジニアリングウッドだと劣化が早いとも指摘されています。 (6:31〜)
経年による劣化は想定内
経年劣化をどう評価するかについても解説しており、屋外に無塗装の無垢材のような材質をつかうと変色してくるのが普通だが、それをどう感じるかについてはそれぞれの主観によるものも大きいと述べています。
伊勢神宮のように無塗装の「白木」のような状態で年月が経ってグレーに変色して、20年経ったら式年遷宮で立て替えるようなこともある。そういう経年による劣化も想定されて設計していると思われるが、カビのように見えてしまうことも否定できないとも述べていました。(16:00〜)
富岡市役所の庇(ひさし)の腐食に関しては設計ミスの可能性
富岡市役所の庇(ひさし)の裏側は、築6年で腐食してしまっており取り替えるべきだと述べています。この部分に関してはクレームとして処理すべきという考えを示しています。(6:55〜)
経年劣化による見た目は仕方ないとしても、庇(ひさし)の腐食に関しては設計ミスの可能性もあると指摘しています。
(17:30〜)
隈研吾氏の建築物の劣化画像まとめ【SNS・YouTube】
SNSやYouTubeで隈研吾氏の建築物が各地で劣化していたり、ボロボロになっていたりすることが話題になっています。
隈研吾氏の建築物の劣化状況について画像とともに言及している投稿をまとめて載せておきます。
富岡市役所(群馬)
こちらの建物は2018年に建てられた群馬県にある「富岡市役所」になります。建築から6年でこのような状態になっています。
「富岡市役所」はFNNプライムオンラインでも問題が取り上げられていました。
建築エコノミスト「森山高至」氏によると合板で無塗装の木材を外側に使うと劣化してしまうのでありえないと述べています。
YouTubeの「幸せのデザイン宮崎建築事務所」さんも接着剤で固めたエンジニアリングウッドのようなものだと、劣化が早いということを述べています。また、庇(ひさし)の裏側の腐食している部分に関してはクレーム処理で対応すべきという考えを示していました。
銀山温泉 藤屋(山形)
山形県にある「銀山温泉 藤屋」になります。建物は2006年にリノベーションしており18年が経過しています。 木造の黒い変色についてSNSでは見た目が悪いという意見が多く出ています。
「銀山温泉 藤屋」についても確かに1階部分の白木の下半分は黒ずんで汚く見えます。ただ、2階と3階の黒ずみは自然な経年劣化のようにも思えます。
1階部分を除けば、黒ずんでいるのは趣があって悪くはない気がします。
銀山旅館の周りの風景を見てみると、下にある石垣も経年劣化で黒ずんでいたりするので、旅館の木造の黒ずみとうまく調和している気もします。
愛徳幼稚園(埼玉)
埼玉県にある愛徳幼稚園になります。こちらの建物は2016年に建てられ築8年になります。
少し外壁の木材が黒ずんでいるようですね。
奥琵琶湖レイクシア(滋賀)
こちらの建物は「奥琵琶湖レイクシア」になります。奥琵琶湖レイクシアは完全会員制のリゾート施設で2023年に新エリア「the FOREST」のプロジェクトが開始。設計は隈研吾氏が手がけています。
こちらの建物はSNSでの情報は少ないですが、こちらも劣化が指摘されているようです。
国立競技場(東京)
東京の国立競技場は2019年に完成なのでかなり最近の建物ですよね。 それでも木材が傷んで黒ずんでいるという情報が上がっています。
まだ建設から5年しかたっていないので、さすがに目立った劣化は少ないと思いますが、 今後の劣化状況を注視していく必要があるでしょう。
馬頭広重美術館(栃木)
FNNプライムオンラインでも問題が取り上げられていた栃木県那珂川町にある「馬頭広重美術館」。こちらの建物は2000年築で24年も経過しているのである程度の老朽化は致し方ない気もします。
ただ、改修工事に3億円もかかるのは想定外だったはずです。
田園調布せせらぎ館(東京)
東京都大田区にある「田園調布せせらぎ館」は2020年に完成して、2021年1月にオープンしているので築4年の建物になります。
YouTube「羽田ゆきまさ報道局」によると「田園調布せせらぎ館」の木材が茶色くカビのように汚れていると指摘をしています。木材自体は腐らない処理がされているとのことですが、やはり見た目はあまりよろしくありません。
経年劣化であっても建物全体がまんべんなく古民家のように黒くなれば、それはそれで味になって良い感じになるかもしれませんが、現代風な建物と木材を合わせると木材の汚れだけ目立ってしまう気がします。
隈研吾氏が木を生かした建築に舵を切ったきっかけは「ゆすはら座」

「梼原(ゆすはら)で新しい可能性を見つけた」 これは建築家 隈研吾の言葉です。 坂本龍馬が脱藩の際に通った最後の高知県と言われ、愛媛との県境にある小さな町の古い演劇場「ゆすはら座」の木の美しさに魅了され、木を生かした建築に舵を切ったという、、ここ梼原はまさに隈研吾の原点!
引用元:X
隈研吾氏が木を生かしたデザインに舵を切ったきっかけは、劇場「ゆすはら座」の木の美しさに魅了されたことがきっかけだったようです。
ボロボロの建物がリニューアルされた事例もある

福島県玉川村の阿武隈川にある「複合型水辺施設 乙(おつ)な駅たまかわ」という施設が2024年9月にオープンしました。
元々は隈研吾氏が手がけた「川/フィルター 乙字亭」という名称の建物だったようですが、
それが10年以上空き家になっており、ボロボロになっていたものを村が買い取って新たな複合施設としてリニューアルオープンさせています。
村が彼のデザインを信頼して依頼したことは、やはり隈研吾氏のデザインの力だったり話題性だったり何か期待があったのでしょう。
村が買い取ってリノベーションして「乙な駅たまかわ」は生まれ変わった

つまり、村が買い取った「空き店舗」をリノベーションして「乙な駅たまかわ」は生まれた。元の建物も隈氏の設計だ。これ↓が工事着手前の写真。こんな状態で10年以上放置されていた。さあ、何かわかるだろうか。
工事が始まる前の2022年9月に撮影 答えは、1997年にオープンした「川/フィルター」だ(竣工は1996年12月)。「川/フィルター」というのは建築界ネームで、実際の名前は「乙字亭(おつじてい)」。須賀川市の老舗製麺所「安積屋」が出店したロードサイド型そば・うどん店だ。
引用元:【追加コメントあり】「失われた10年」の自作再生に隈研吾氏が名乗り、福島県玉川村に「乙な駅たまかわ」開業 | BUNGA NET
施工を知りすぎるとデザインが萎縮する
YouTubeチャンネル「湧口善之 都市林業ch」さんが、隈研吾氏の建物や建築家のあり方について言及しています。
湧口善之氏によると「建築家は施工のことを知らなくてよい、余計なことは知らなくてよい」という考えを持った建築家が一定数いることを述べています。
建築家が施工のことを知りすぎたりするとデザインが萎縮して良い作品を作れないという考えを持った建築家もいるようです。
施工を軽視して目立ったデザインや奇抜なデザインでやっていく方が、結果的に成功して売れっ子のスター建築家になってしまうような現実もあるようです。
隈研吾氏が施工のことについてどれくらい重視してデザインしているか不明ですが、木材が腐らないように考えたり長期的で持続可能な作品を目指してほしいと思います。
まとめ

隈研吾氏の手がけた建築物は国内だけでも50件以上あり、かなり多い印象を受けます。そのなかでも木材を使ったものがかなり多く存在します。
これだけ多くの木材建築を扱っているので一部の建築物で問題が出てくるのはある程度は仕方ないことなのかなと思いました。
個人的な意見ですが、隈研吾氏のデザインは木材とそれ以外の素材の調和が最初は綺麗すぎるので、経年劣化で木材だけ黒くなるとそれが目立ってしまうようなこともある気がします。
木材を使って「地獄組み」を取り入れたサニーヒルズ南青山は10年以上経ちますが、いまだに綺麗な状態を保っていたりもします。建築物というよりもはや芸術作品のようにも思えます。
建築物である以上すべての作品である程度の機能性が求められますが、デザイン性と機能性(メンテナンス性)を両立させることはかなり難しいことなのかな?とも思ったりもします。
木材の経年劣化に関して言えば、目立って汚らしく見えることもあるかと思います。そのような黒く変色した経年劣化であっても「侘び寂び」のような美的な価値観を見出せるようなデザインになってくれれば素晴らしいことです。
隈研吾氏もそのような長期的で持続可能なデザインを目指していると思われますが、すべての建築家でそのような考え方をされないのも事実です。
とはいえ経年劣化の範疇を超えて木材が腐ってくるようなことがあれば、それは直ちに対応をすべきでしょう。
隈研吾氏の今回の劣化問題はちょっとした話題になってしまいましたが、
彼の作品は「地獄組み」を取り入れた木材の素晴らしい建築物もたくさんあるので、隈研吾氏の今後の活躍に期待したいと思います。

